数学U 微分法 関数の増減 |
日時:平成19年5月19日(土)4校時 |
対象:高校3年E組(女子13名) 場所:普通教室 |
使用ソフト:Grapes 準備:ノートパソコン,プロジェクタ 形態:教師ワンポイント提示 |
(コンピュータを使用した理由) 前時に微分係数の符号と関数の増減について学習し,増減表を書いて調べる方法を説明した。次に問いに取り組ませたが,微分係数の符号と関数の増減の関係を答えられない生徒が多かったため,理解の助けにならないかと考え,本時にGRAPESをワンポイントの説明に用いた。 |
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(目標) 関数のグラフ上の接線の傾きと関数の値の変化を見ることで,微分係数の符号と増加減少との関係を確認し理解を図る。 |
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(指導の計画) 増減表を書いて関数の増減を調べた後に,ワンポイント的に2次関数や3次関数の増減と接線との関係を示す。 |
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(本時のコンピュータを活用するねらい) (1) 接点を変化させて簡単に接線を描くことができるので,接線の傾き(=微分係数の値)と関数の増減との関係を視覚的に確認できる。 (2) 自分で考えた関数を生徒に入力させ,興味のある関数(指数関数や対数関数,三角関数など)の接線と増減の関係を,調べることができる。 |
時間 |
授業内容・活動 |
備考・留意点 |
適宜 |
・《練習問題》 2次関数・3次関数の増加と減少を増減表を作って調べる。解答と解説を行う。
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・ 前時に課題として終わっているが,ほとんどの生徒ができていなかったので,丁寧に増減を調べる手順を説明しながら解答をする。 |
20分程度 |
・ 練習問題で解いた2次関数,3次関数の増減と接線の傾きとの関係を,GRAPESを使って確認する。
・ 関数定義に任意の関数を入力して,接点の座標aを−2位から0.1ずつ変化させる。接点における接線の傾きと関数の増減の様子を認識してもらうために,最初は,グラフ全体は表示せずに接点の変化とともに,グラフが描かれていく様子を示す。 kansuunozougen1.gps
・ 次に,陽関数のy3の文字のボタンを押して関数のグラフを表示させて, 再び接点の座標aを−2位から0.1ずつ変化させ,接線の傾きと関数の増減の関係を再度確認する。
・ 4次関数,5次関数のグラフに書き換えて,接線の傾きの変化と関数の増減を確認してみた。 kansuunozougen2.gps
・ 希望する生徒に,関数を自由に入力させて,調べさせた。 生徒が入力した関数の例。kansuunozougen-cos.gps
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・ 接線の傾きの符号が,f’(a)すなわち接点における微分係数の値の符号と一致していることを,再度よく確認をしてから画面を動かす。
・生徒に,「やってみたい人は,自由にいじっていいよ」と,操作を促して,生徒の入力を補佐する。 |
〔実践について〕
導関数を利用して関数の増減を調べるには, f’(x)=0となるx の値以外で,微分係数の符号が+か,または−のいずれかをとることを理解し,それを判断しなければならない。
生徒は,接線の傾きと関数の増減との図形的な関係については分かっていても,〈接線が右上がり〉=〈接線の傾きの符号正〉=〈導関数の値の符号正〉という3つの関係のうちの後ろの2つの関係が結びついていないため躓いている状況と,増減表をどのような手順で書いたらいいか分からないという状況がある。今回の実践は,前者の〈接線の傾きの符号〉=〈微分係数の符号〉の関係を確認することと,後者の増減表に書き表す内容の理解を図ることを目的とした。
そのため,GRAPES画面に,強調したい関係とf’(a) の符号を表示するようにした。(ただし,この表示は,授業後すぐ行われた定期テスト後に,増減を答えられなかった生徒が何故分からなかったのかを考えたとき,気付いて付け加えた。テスト返却時の解説では,この点を強調して,増減表の説明を行った。)
実践の後の定期テストでは,13名中5名の生徒が,増減表を正確に書き,増減の区間を答えることができた。答えられなかった8名の生徒の中には,まだ増減表の基本的な書き方が分からなかった生徒もいた。接線の傾きと増減の関係は理解できても,増減表の書き方を理解していない生徒がいることに対しては,グラフの提示による説明の他に,もっと個別に躓いている点や理由を把握して,指導することが必要であったと反省している。
今回行った,関数のグラフの接線と関数の増減の関係について,いろいろな例を考えて描いてみることに,生徒は興味・関心を持つことができたようである。自発的に,いろいろな関数を入力して,グラフを描いた生徒が何人かいた。
生徒が,この実践の中で興味を示した例として,4次関数や5次関数のグラフというように,次数を増やしていったときの関数のグラフの増減の様子を調べた例を挙げておく。これらは,素早くいろいろなグラフを描くことができるという,コンピュータの良さを活かした例である。
また,生徒が入力したいと考えた関数の中にy=cosxがあり,これは教師が入力を補佐したが,接線の動きとグラフの増減の様子がおもしろく,一番評判が良かった。生徒の光った発想であったと思う。